私立高校の受験制度は、公立高校とは異なるルールやスケジュールが多いです。

何から調べればいいの?
という声も少なくありません。入試制度も推薦・一般・オープンなど複数があります。学校ごとに出願条件も違うため、正確な情報を早めに押さえておくことが重要です。
ここでは
- 私立の入試制度ってどんなものがあるの?
- 『出願基準』って何?
- 出願パターンはどうしよう?
といった疑問を解決していきます。
私立の入試制度は? 主な入試制度
神奈川県の私立高校入試には、主に以下の制度があります。
推薦入試
中学校長の推薦書を提出し面接や作文などで選考されます。学力試験を課さない学校が多く、専願(合格したら必ず入学)での受験が一般的です。入試の実施時期は1月です。公立入試や私立のオープン入試と異なり、内申などの出願基準があります。多くの学校では中学校との間で『入試相談』を行ったうえでの受験です。出願基準さえクリアできれば合格が確約される高校が多いですが、学力検査を行う入試の場合は不合格がでる場合もあります。
『入試相談』とは?
12月中旬ごろに中学校と私立高校との間で行われる制度です。受験希望者の合格可能性を相談します。入試相談の時期の前(11月中旬から12月上旬)に、中学校で三者面談が行われます。推薦入試を活用する場合は面談時に伝えるようにしましょう。
一般入試
学力試験を課す入試で、専願と併願の両方があります。単願・併願ともに内申点の出願基準があります。
単願の場合は受験する高校が第一志望であることが出願条件です。そのため、合格が出た場合は辞退できません。
併願の場合、公立高校を第一志望としながら私立高校を受験できます。一般に公立高校を受験する人にとって「すべり止め」というと、この「一般入試(併願)」か「書類選考」をさすことが多いです。
書類選考
内申書などの出願書類のみで合否を判断する制度です。学力試験が無いため高校へ足を運ばずに合否が決まる入試です。内申点などの出願基準があります。大半の高校が公立高校との併願を認めていますが、一部の私立高校では第一志望校とする場合のみ受験できるケースもあります。
オープン入試
出願基準が無く、学力試験の得点で合否を決定する入試です。併願入試や書類選考で高校を確保した上で「チャレンジ」として受験するケースが多いです。
出願基準・合格基準は?
私立高校の出願基準や合格基準は、各学校によって異なりますが、一般的には以下のような目安があります。
内申点
学校ごとに定められた基準を満たす必要があります。「どの時期の内申を見るのか」,「どの科目を見るのか」は高校・入試制度によってまちまちです。
加点要件や出願資格にも注目!
出願基準は内申点で設定されることがほとんどです。しかし「英検準2級」,「生徒会役員」などの資格や経験がある場合は、内申点に加点される制度もあります。加点要件は募集要項に書かれていることが多いです。『内申点が届かない…』という場合も要綱の確認or中学校の先生に相談をしてみましょう。
一方、「2以下は受験不可」「欠席日数20日以下」のような出願制限を設けているケースもあります。
学力試験の得点
オープン入試では、学力試験の得点が合否を左右します。また学校によっては基準点を設けている学校もあります。
入試制度ごとの特徴と違い
各入試制度の特徴をざっくりまとめるとこんな感じです。
推薦入試 | 一般入試(単願) | 一般入試(併願) | 書類選考 | オープン入試 | |
合格の確実性 | ◎(高い) | ◎(高い) | ◎(高い) | ◎(高い) | ×(低い) |
受験の簡単さ | ◎(簡単) | △(普通) | ◎(簡単) | ◎(簡単) | ×(難しい) |
併願の自由度 | ×(低い) | ×(低い) | ◎(高い) | ◎(高い) | ◎(高い) |
出願基準 | ◎(緩い) | △(比較的緩い) | ×(厳しい) | ×(厳しい) | ◎(基準無し) |
推薦入試の特徴
推薦入試の強みは「合格の確実性が高い」ことと「比較的出願基準が低い」ことでしょうか。また、1月中に合否が決まるのも特徴です。
その分、併願はできないため公立高校の受験や私立高校へのチャレンジ受験ができない点がデメリットとしてあります。「この高校がいい!」という場合であれば良いですが、妥協して推薦入試を活用するのは個人的におすすめできません。
また、『1月で合否が決まる』というのはデメリットにもなり得ます。受験が終わるとどうしても気が抜けてしまいます。2月の受験を潜り抜けた人と高校で合流したときに、学力の差を感じるかもしれません。

ここに入学したい!という高校であれば推薦入試はアリです。
一般入試(専願)の特徴
単願入試も推薦入試同様、確約性が高い入試制度です。出願基準も併願入試と比べると緩めに設定されている高校が多いです。
一方で合格が出た場合は辞退できない点はデメリットとして挙げられます。第一志望としての受験が前提である点は注意が必要です。
一般入試(併願)の特徴
出願基準さえクリアできれば確約性が高い入試です。また公立高校や他の私立高校も受験ができ、自由度が高いのがメリットとして挙げられます。
自由度が高い分、推薦入試や単願と比べて出願基準が高いのがデメリットとして挙げられます。また、高偏差値の私立高校ではそもそも併願制度を設けていない高校もあります。あくまで第二志望として受験する人向けの制度だと思います。
書類選考の特徴
併願入試と同じく確約性と自由度が高い入試制度です。また、受験期に高校へ足を運ばなくて済むのもメリットとして挙げられます。併願入試の受験日は公立高校入試の1~3日前に設定されていることが多いため、この時期の1日は大きいように感じます。
一方、出願基準が比較的高い点はデメリットとして挙げられます。また、『高校へ足を運ばなくて良い』というのは『受験会場の雰囲気を感じる機会が無い』とも言えます。書類選考を活用する人の大半は他の高校で受験を受けるかと思います。緊張してしまうタイプの人は、場慣れをする意味でも併願入試を活用する方が良いかもしれません。

併願や書類選考は「すべり止め」を確保するために使われることが多いです。
オープン入試の特徴
出願基準が無く内申点を考慮しないのが特徴です。良くも悪くも当日の結果で合否が決まります。また、併願ができないなどの制約がかからないのも特徴です。
デメリットとしては確約性が無い点でしょうか。また公立高校など他に学力検査を必要とする入試をする場合は、別に入試対策が必要になります。
私立高校の併願戦略と注意点
私立高校を併願する際の戦略として、以下の点に注意が必要です。
スケジュール管理
私立高校と公立高校の入試日程を把握し、無理のないスケジュールを組むことが重要です。入試スケジュールさえ合えば連日の受験は可能です。しかし、高校に足を運んで入試を受けるというのはかなりの負担になります。「第一志望の受験の前に疲れ切ってしまった」ということが無いように計画する必要があります。
合格後の対応
入学金の納入などの手続きが必要な場合があります。期限については「公立高校の合否判明まで待つ」「入学金の一部入金が必要」などまちまちです。併願入試など第一志望ではない受験制度を利用した場合は注意です。
私立高校の入試スケジュールについてはこちらの記事!
まとめ|神奈川県の私立高校受験は「制度理解」と「早めの準備」がカギ
神奈川県の私立高校入試には、推薦・一般・オープン入試など多様な制度があり、それぞれ出願基準や合格条件が異なります。また、公立との併願を考えている人も私立は「通うかもしれない学校」です。学校見学をした際には雰囲気のチェックとあわせて出願条件の確認をしておくと良いでしょう。
受験戦略を立てて、安心して高校入試に臨んでください。
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